『食べること』は、生命を維持するための基本的行為であり、
他の動物や植物の『死』を、自己の『生』に転化させることでもあります。
つまり、食べると言うことは、命をいただくことなのです。
あたり前のように繰り返される日々の食卓の中にも『生と死』を意識する機会があり、
そして『生きることへの積極性』が育まれていくのです。

「ごちそうさま」は、漢字では「ご馳走様」と書きます。「馳走」とは、馬を走らせて
食べ物を集めてくる、という意味です。
私たちが食べ物を口にするまで、実に様々な、たくさんの人の手が関わっています。
米や穀物、野菜や果物を栽培し収穫する農家の人たち。牛や豚、鶏などを飼育する畜産農家の人たち。
魚介類をとってくる漁業の人たち。卸市場の人たち、運搬する人たち、小売業の人たち、料理を作る人たち。
そして、食べ物を手に入れるために働き、食事を作ってくれる家族。
こんなにたくさんの人たちが働き、走り回ってくれるおかげで、私たちは美味しく『食べること』が出来るのです。

私たちの生に転化される動物や植物の命に感謝する「いただきます」、
そして食に関わるたくさんの人たちに感謝する「ごちそうさま」であって欲しいと思います。

「もったいない!」は、ステキな言葉
世界的に環境に対する問題意識が高まる中、日本語の「もったいない」が見直されています。
確かに、「もったいない」は、浪費せずにつつましくといった倹約の精神が基本となっていますが、「ケチ」とは異なる昔からの生活の知恵、自然を尊ぶ精神の現われなのです。
日本は春夏秋冬の美しい自然と、豊富な海の幸、山の幸に恵まれた国です。
季節の節目を五感で感じ自然の恵みに感謝し、神霊へ祈りを捧げ、家族の健康を祈願し、ご馳走を作り天地自然に供え共に祝う。この時の食事が行事食、『ハレの食』です。
一方、日常の質素な食事が『ケの食』ですが、先人たちは倹約しつつも日常にも様々な意味を持たせ、メリハリのある生活を大切にしてきました。
近ごろでは、『ハレとケ』『行事/行事食』の意味が希薄になってきましたが、先人の生活の経験や知恵、そして自然との関わり方や感謝し共存する大切さ、さらにメリハリのある生活は、精神的に豊かさを与えてくれます。

「もったいない」は、環境を考えた循環型社会のキーワードである4R(Refuse,Reduce,Reuse,Recycle)を全て含む言葉なのです。
食に関して言えば、現在、日本では年間約6,000万トンの食糧を輸入し、そのおよそ3分の1である2,000万トンが残飯として捨てられています。この残飯を無くせば、日本の食糧自給率40%が50%以上になると言われているのです。
家庭における残飯は、約1,000万トンですが、「賞味、消費期限が切れた」「少し余った」「腐った、カビが生えた」などが主だった理由としてあげられています。一人ひとりが、「もったいない」と意識するだけで、残飯は減らせるのです。

※食料自給率について、もっと詳しく知りたい方はこちら≫ 農林水産省/食料自給率の部屋