第68回 ライバルは\(◎o◎)/!
モーニングコーヒー?!をすすりながら、今私の目の前にいるこの男のBarで、昨晩、1人で飲んでいたところから記憶をたどる。
まだ開店前の店を開けさせ、3杯飲み干し、ほろ酔い気分になったところで、そろそろ帰るか・・・と、
席を立つのと同時に扉が開き、見覚えがある顔が現れた・・・2ヶ月前に私をふったヨガ講師だ。
一瞬、表情が固まったように見えたが・・・たぶん、私の方がもっと強張っていたと思う。
マスターに向かって、「お会計」と言うのと同時に、「一緒に飲みませんか?」とかぶせてきた。
「もう帰るところですから。」と、そっけない返事をする私。
「レイさんにきちんと謝っていなかったですし、それに聞いてもらいたいことが・・・。」
謝られても余計に惨めになるだけだし、それに今さら、聞いてもらいたいことってなによ!
ムカァ~としてきた私に気付いたマスターが、なだめる様な口調で、
「まぁ、座りなよ。まだ早いし、もうちょっと飲んでいってよ。」
『顔見知りに一杯ご馳走になるだけだし、いつも迷惑かけている店の売上げに貢献できるし・・・』と、
自分の気持ちに無理やり折り合いをつけ、
「そう・・・じゃ、ご馳走になろうかな。」と、席に着く。
カウンターに並んで座ったが、目線は前を向いて沈黙のまま、重い時間が流れる。
すごいピッチで、3杯目を頼むヨガ講師を尻目に、「やっぱ、帰るわ。」と席を立つ私の腕をつかみ、
「レイさん、聞いてください!ボク、好きな人がいるんです。」
今さらぁ~!そりゃ、そうでしょうよ。だから、私をふったんでしょうよ。
「レイさんはステキな人で、一緒にいて楽しいし、もしかしたら特別な感情を持てるかもって思っていたんですけど・・・ゴメンなさい!ボクの中で、ある人の存在がどんどん大きくなってしまって・・・。」
「ゴメンなさいって言われても・・・その人と、どうぞお幸せに!」と、ヨガ講師の手を振り払う。
私から視線をマスターに移し、「実はボク・・・。」
んっ?何か、おかしくない。なんで、潤んだ瞳で見つめちゃっているの?気のせいじゃないよね。
「ねぇ、好きな人ってもしかして、マスター?!なわけないよね・・・ははは」
「変なジョーダン言うなよ、レイ。ははは」
笑ってうやむやにしたい状況なのは、どうやら2人の共通認識だったが・・・そうはいかなかった。
「おかしいですか!ボクは本気なんです!!」
「えっえぇ~~~!」思わず2人して叫んでしまった。
memo
何でも一生懸命、強くたくましく…でもどこか弱い…。
40才を目前に、女の幸せって?きれいな人って言われるには?などと日々奮闘するレイちゃん。もしかしたら、あなたの近くにレイちゃんがいるかも…。